空犬です。昨日の続きです。吉っ読のみなを驚愕させたもう1つの冊子、それは、プレジデント社石井さんがご自分でお作りになったもので、その名も『他店の棚』。こちらです。


↑わざわざこの例会のために用意してくださったことがわかる副題がついています(表紙・左)。中にはたとえば、わたくし空犬も訪問、そのすごさにノックアウトされたくすみ書房さんが紹介されていたりします(右)。
B5判オールカラー30ページ。石井さんが実際に訪ねたお店の棚の写真を集めた、書店棚写真集とでもいうべき、シンプルな冊子です。キャプションは店名と訪問日のみ。こういうものを作るとき、担当者に取材してその思いを聞いていたりすると、ついそれを引用したくなったり、自分の感想をつけてみたくなったりするものですが、そういうのは一切なし。でもね、それがいいんですよ。棚の写真がすべてを語っていて、何の不足も感じさせません。
ここに写っているのは、言ってみれば、ただの本棚なわけです。ただの本棚を、こんなにも魅力的に見せてしまうのはいったいなんなんでしょうね。それは、本冊子に取り上げられた各書店の棚の力であり、それをこのかたちに切り取った作り手の力であるのでしょう。いやはや、すばらしい! すばらしすぎる! こんなものを作ってしまうなんて! 同じ本の作り手として、ジェラシーにからだが震えたことですよ。全面リスペクトです。石井さん、あらためてありがとうございました。
さて、こんなすばらしいものを見せられては、我々としても黙ってはいられません。吉っ読各店の棚もこんなふうに残したほうがいいのでは、いや、ぜひ残すべきだ、と突然の使命感に燃え立ちます。見れば、あちらの席でも花本会長が立ち上がっているではありませんか! 会長と空犬はその場で意気投合、急遽花空コンビが結成され、今年の活動の一環として、吉っ読各店の棚を記録として残す、というのを実現することに(勝手に)しました。
というわけで、書店の棚の写真集吉祥寺版・吉っ読版、完成はいつになるかはわかりませんが、必ずやりますよ。無事完成しましたら、このブログで報告したいと思います。
書店の記録、という意味ではおもしろい偶然が重なります。当日、リブロの筒井氏が古本屋で見つけたという『本を探す本』(フットワーク出版)をたまたま持ってきていました。若い吉っ読メンバーの多くは初めて目にする本だったようですが、これ、空犬は新刊で買ってる本なんですよねえ。
1992年刊の本書、当時は書名通り、本を探すためのガイドブックだったわけなんですが、情報が古びてガイド的な機能が失われた今、あらためて見てみると、これが実におもしろいんですよ。

↑これは空犬の手元にある1992年版(左)と1993年版(右)。関東エリア限定の92年版と違って、93年版は全国版に拡大していたりするので、マニアは両方要チェック。ちなみに、1995年に『新・本を探す本』も刊行されています。
これ、今とはまったく違う東京エリアの書店地図を見ることができ、そして、書店事情を知ることができる貴重な資料なんですよ。92年といえば、池袋で言えば芳林堂書店や三省堂書店があった時代。新宿だと東口には山下書店が、西口エリアだと高層ビル街に福家書店や八重洲ブックセンター支店なんかがあって、PePeの上には西武新宿ブックセンターもありました。今ではないこと自体が想像しにくいランドマーク的書店、紀伊國屋書店新宿南店はまだありません。渋谷だと大型書店の代表は大盛堂書店、という時代ですね。そして、どの街にも、ジュンク堂書店やブックファーストの名前は出てきません。
つまり。池袋書店戦争、新宿書店戦争などと言われた書店地図書き換えの波以前の時代が偶然切り取られている本なんですよ。ね、書店好きのみなさん、読みたくなるでしょう?
吉祥寺のページがこれまたおもしろい。弘栄堂、リブロ(当時はPBC)、紀伊國屋書店、BOOKSいずみら主要な新刊書店は変わらず。一見目立った変化はないように見えるんですが……ふん?、よく見ると、サンロードにあるべきルーエがない! というわけで、別の意味で新鮮な地図になってます(ちなみに、ルーエは翌年93年版からエントリー)。
街も店もそれなりに変わっていくでしょう。吉祥寺も当然例外ではないでしょう。街のどこにどんな書店があったのかは、このような書店ガイドや地図があれば、情報としては残っていくかもしれません。でも。でも、それらのお店がどんな店だったのか、どんな棚だったのかは、その店で働いていた人たち、その店に通った人たちの記憶にしか残らないでしょう。いや、その記憶からも、多くが漏れ落ちていくでしょう。動かない箱=建物と違って、棚も人も動くものだからです。
だから、残してみてもいいのではないかと思うのですよ。吉祥寺の書店、それも、なんて店がどこにある/あった、というのじゃなくて、吉祥寺の書店の「棚の」記憶と記録を。
……うん、ちょっと意図的にセンチメンタルな書き方をしてしまいました。俄然、やる気が出てきましたよ。ねえ、花本会長?
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空犬です。先日、6/6は吉っ読の例会でした。
始まったばかりのフェアについて、マーケティング的な側面から分析、開始週の動きを報告し合い、今後のフェアのあり方、フェアの方向性について、熱く真剣な意見を交換し合い、酔う間もなく夜は更けていったのでした……なはずはなく、フェアを無事に始めちゃったもので、みんなお気楽ムード、ひたすらみんなで楽しく飲んだくれたのでした。
例会は基本的に吉っ読メンバーだけの集まりですが、今回はゲストとして、集英社サービスのUさん、河出書房新社のIさん、プレジデント社の石井さんとそのお知り合いのライターNさんらが遊びにきてくれました。みなさま、ありがとうございました。
この日、みなの関心を大いに集めた冊子が2つありましたのでご紹介します。1つは、わたくし空犬がしばらく前の大阪出張でゲットしてきた書店発フリーペーパーの1つ、ジュンク堂書店天満橋店の10周年記念冊子。じゃーん、こちらです。


空犬通信でもそのすごさは紹介済みなんですが、いやはや、この冊子すごいです。A4で30頁弱、中はすべて手書きで、コピーを綴じただけの造りなんですが、内容といい、ボリュームといい、各ご担当のみなさんのあふれまくるの熱意といい、ものすごいことになっています。定期刊行物的なフリペではなく、10周年記念だからこそできたということなんでしょうが、それにしてもすごいです。さっきから「すごい」としか書いてませんが、とにかく、中途半端な感想や評価を受け付けない迫力で、「すごい」としか書きようがないのです。
ぼくが入手したのが5月の初めごろ、今なお配布されているかどうかはわかりませんし、何より関東では入手は無理でしょうが、もしも関西にいったら、迷わず天満橋に直行、ジュンク堂書店天満橋店に全速力で駆けつけ、同冊子をリクエストしてみてください。運がよければ入手できるかも。そして、このすごさを現物で確かめてみてください!
同店の方がこのページを目にする機会はまずないでしょうが、ジュンク堂書店天満橋店のみなさま、みなさんが作った冊子のすばらしさは、東京西部の小さな街の書店員の度肝を抜きまくっていますよ。吉っ読一同、全面リスペクトです。
ちなみに、関西の書店事情、なかなかの盛り上がりが感じられました。空犬の大好きな書店発フリペも、いくつも見つかってほくほく。そのあたりのことは、こちらやこちら、そしてこちらに駄文を垂れ流しておりますので、よろしければご笑覧ください。
さて、もう1つ、みなを本気で驚かせた冊子が持ち込まれているのですが、ちょっと長くなったので、続きは明日にします。
空犬です。先日6/1に始まりました「ナツヨミ文庫カーニバル2008」、もうご覧いただけましたでしょうか。これから、という方々のために、また、遠方から応援してくださっている方々のために、店頭の様子を、わたくし空犬がレポートしたいと思います。
まずは、2階文庫フロアで展開中のBOOKSルーエから(以下、店内の写真はすべてお店に許可を得て、空犬が撮影したものです)。

通称「花本棚」に並べられていますので、フェア本が周囲の花本セレクションに自然に溶け込んで、渾然一体となっている感じですが、パネル下の4段、手書きPOPが貼られた文庫が面陳になっているあたりがフェア本です。
まだ最初の1週間ということでそんなに目立った動きはないようです。1F入り口脇の棚で展開していた去年に比べると、フェア自体の認知が低いのかもと、花本氏はやや気にしていました。入り口には↓こんな看板(下左)も出ているのですが……。

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ナツヨミだけでなく、近くには三冠王特集コーナー(上右)や高田渡コーナーがあり、文庫スター第2階の受賞作『雨恋』も平積みです(この本のことは、後日あらためて紹介します)。ナツヨミはもちろん、それ以外も見所満載、本好きなら足を止めざるを得ないコーナーになっていますので、ぜひぜひルーエ2階文庫フロアに足を運んでいただけますよう、よろしくお願いします。
お次は弘栄堂書店。改札に近い方のレジ、斜め前あたりの平台で展開中です。


↑高田渡さんのポスターにやや押され気味ですが、これが目印(左)。本に添付のルーエと違って、こちらではPOPがずらり。にぎやかで楽しい平台になってます。

↑この角度からだと、乱立するPOPのにぎやかさ、手作り感がよくわかります。
写真には写っていませんが、平台の右半分は『吉祥寺食べある記』ほかの吉祥寺・中央線関連本が集まっていて、平台全体が吉祥寺らしいコーナーになっています。
気になる動きのほうですが、ちくま文庫が健闘中とのこと。今回のフェア30点には入っていないのですが、結局3店ともフェア周辺に並べる本にセレクトした高田渡さんの『バーボン・ストリーボ・ブルース』も好調のようですから、今回のフェアはちくま文庫が上位に集まるかも!? 売上ランクについては、フェア終了後に、フェアの書目を含めて、くわしくレポートします。
ちなみに、先の『雨恋』、弘栄堂では、こんなパネルも使って展開中です。こちらは後日あらためて紹介します。

最後は、6/5にいせや本店復活を応援するフェアを勝手にかついち早く立ち上げたリブロ吉祥寺店。↓こちらがフェア台。左奥には三冠王コーナーも見えています。


↑まだPOPはやや控えめ、でしょうか。でもこれから増えるとのことです(右)。
先の記事で、いせやフェアの近くには、三冠王あり、ナツヨミありで、吉祥寺一色だ、という主旨のことを書いたのですが、さらに、いせやフェア台の隣の台では、『グーグーだって猫である』4の刊行記念のグーグーフェアが盛大に展開中でした。いやはや。


↑6/5も紹介しましたが、鮮明な写真で再び(左)。グーグー好きは狂喜必至、間違えて重ね買いを連発しそうになるグーグー台。撮影しているだけで涙が……(右)。
吉祥寺関連を一カ所に集中させるという意味では、吉っ読3店中もっとも徹底しているのがリブロと言えるでしょう。なんかこの一角に立つだけでうれしくなりますよ。
気になる動きのほうですが、ここリブロでもやはり、高田渡本を含むちくま文庫が健闘中のもよう。ひょっとして、今回の三冠王はちくま文庫から生まれるか!?……結果が楽しみです。
というわけで、このような感じで各店、にぎやかに楽しく展開中です。ご覧のように、フェア本は共通でも周りには各店独自の本がたくさん並んでいますし、フェア台の作り方もお店によって雰囲気がずいぶん違います。吉祥寺にお寄りの際は1店と言わず、ぜひ3店ぜんぶを回ってみてください。きっと楽しい書店巡りになること請け合いですよ。
空犬です。改装工事中だったいせや本店が昨日6/4、無事リニューアルオープンしたようですね。いやあ、お待ちしておりましたよう。まだ実際のお店は見ていないんですが、写真を見ると、なんだかずいぶん立派なビルになっていますね。
その本店復活を祝して、リブロ吉祥寺店では、こんなフェアを展開中です。

↑(撮影・リブロ吉祥寺店筒井陽一)
開店のその日にフェア台をセットアップ、これぞ地元書店、すばらしいフットワークです。左側にはいせやの常連だった高田渡さんの映画ポスター&ちくま文庫、そして右側には刊行されたばかりの吉祥寺グルメガイド『吉祥寺食べある記』、そして中央「いせや」とあるパネルの下には同書の「いせや本店」紹介ページが広げてあります。急造だから、なんて話を聞きましたが、いやいや、見事なものですよ。
写真には写ってませんが、近くにはナツヨミ文庫カーニバル、そして枡野さん本もありますから、同店のこの一角はまさに吉祥寺色全面全開、なんだかすばらしすぎるコーナーになっているのです。
吉祥寺好き兼本好きのみなさんは、全員大集合して見ていただきたい、そんな雰囲気になっております。いせや復活を心待ちにしていた吉祥寺を愛するみなさん、ぜひぜひ、リブロ吉祥寺店をのぞいてみてください。もちろん、帰りは、リブロで買った本を片手にいせやで一杯、といきたいですね。